母乳を買ってまで飲ませたい母親の気持ち。偽母乳騒動に思う
偽母乳のニュースは衝撃でした。
見知らぬ赤の他人の母乳をネットで買ってまで子供に飲ませたい人がいるのか(母乳は血液と同じような成分だというのに)、そしてやっぱりそれを悪用する人もいるのか、いずれも驚きではあり、それって…それって、特殊な性的嗜好のニーズを満たすためのものではなかったの?と思うのですが、送り主は母親に一見気遣うような手紙を入れていたりしたようだし、ビジネスとして成立していたのかともうわけがわかりません。
しかし、驚く一方で、藁にもすがる思いで買っちゃう人がいるのは、なるほどと理解できるのです、そういう人もいるだろうなぁ、と。慣れない育児をしながら新米のお母さんがそこまで追い詰められていた事を思うと、胸が詰まります。
だって、
母乳が赤ちゃんの栄養には一番だと言われたもんね。
生後半年までは、母乳以外の水分はやらない方がいいと言われたもんね。
吸わせ続ければ必ず母乳は出るよと言われたもんね。
なぜか周りはみんな、苦もなく母乳をあげているように見える。
ネットにあふれる様々な情報。
同じ瞬間は二度とない子育ての時間なのに、スマホを握って情報に振り回されてしまう。
駄目だと思っても、つい検索してしまう。
親戚で集まったらもちろん、道ですれ違う年配の女性にすら「母乳?ミルク?」と聞かれる。
「混合です」と言えない。
「母乳です」と言うと、「そうね、母乳が一番だもの」と返される。
助産師さんからは、「この足しているミルクは無くせるといいなー、もう無くても大丈夫じゃない」と言われる。
どうか自分を追い詰めないで。
母乳が順調な人は、もちろん母乳でいい。
でもね、ミルクだって、いいんだよ!!
お母さんが笑っていられる育児が、一番いいのです。
母乳以外でも子供にしてやれることは沢山あるし、愛情の多寡には変わりないよ。
でも、必死な時は、これらの言葉はなかなか届かない。届かないし、素直に受け取れないのです。
母乳育児推進の病院や、そこに勤める助産師さんには、どうか、悩んで悩んで、追い詰められてしまう今回のようなケースを、悩んで悩んで時に涙しながら、せっかくの育児を楽しめていない母親のことを、頭の片隅においておいてほしいです。